正式には「細胞組織医薬品」となり細胞医薬では、私たちが現在おこなっている免疫細胞療法はもちろんのこと、火傷し欠損した部分の皮層を体外で培養してつくった新しい皮層組織に替えたり、損傷した関節の軟骨組織は細胞をつくって入れたり(組織医薬)、ES細胞(旺性幹細胞)を心臓の筋肉となる細胞に分化するなど、実験段階のものもふくめていろいろなことが試みられています。
そうした細胞医薬が今世紀中にどんどん発展し、多くの分野に応用されていくものと思われます。
肌世紀の医薬である細胞医薬とは、私個人が勝手にいっているわけではなく、医学・薬学会細胞医薬というのは、患者さん1人1人の免疫細胞を増殖、活性化して、その患者さん専用に用いる治療法であり、個別化されたまさにテーラーメイドの医療ということができます。
また、培養、活性化に際しては、本人のがん細胞や、それをしらべて判明した抗原ペプチドを使でも当然のこととして認識し、また、政府も細胞医薬の将来的な発展を見越してガイドラインの策定などにあたっています。
従来の医薬は、たとえば抗がん剤であれば、卵巣がんならシスプラチン、大腸がんなら5‐FUと、がんの種類によっておよその適用範囲が決まっていました。
一般薬にしても、ある種の病気にはこの薬と、なんら個別化されないまま今日にいたっている状況があります。
その結果、効き具合が1人1人大きく違ったり、感受性のよい人と悪い人がいたりするなど、効果も副作用も個人差が大きく、問題視されてきました。
しかし、遺伝子医学がいまよりもつとすすめば、個々の患者さんの遺伝子の性質(変異)を調べ、薬の感受性を検討し、そのうえで個人にもっとも適した薬を使うことが可能になってくるでしょう。
これまでのように、大量につくった既製薬を不特定多数の人たちに適用するのではなく、1人1人の体質に合わせて薬をつくるテーラーメイドの医療がおこなわれるようになるはずです。
そしてそれと同じことが、いますでにおこなわれている免疫細胞療法にもあてはまるのです。
Sクリニックグループでは、分子免疫学研究所および先端医学研究所という二つの研究施設を設けて、大勢の基礎医学の研究者と臨床医が一体となって研究をすすめています。
免疫細胞療法は最新の免疫学の知識に基づいておこなわれている医療です。
遺伝子工学の進歩や研究用機材の開発・改良なども手伝って、免疫学の分野においても、日々新たな発見があり、また新しい理論の組み立てが盛んにおこなわれています。
猫の目のように変化するそれらの最新情報に接し、現状の治療方法に新機軸を打ち出していくことが不可欠です。
つまり、リンパ球の培養・活性方法や投与方法、あるいはがん病巣における免疫抑制の解除方法など、つねに最新・最良を考慮に入れて改善を図っていくことが、このような治療を実践するうえでは必要不可欠なのです。
現在、私たちがおこなっている治療は、後述するように大別して3種類あります。
すべてにおいて治療法は個別化されています。
このように、免疫細胞療法は細胞医薬とテーラーメイド医療をミックスさせた4世紀を代表する治療法であるといえますが、その実際的な方法はどのようなものでしょうか。
私たちのクリニックのとりくみを通して紹介してみることにします。
多く用いられているのが、「活性化自己リンパ球療法(CD3‐LAK療法)」です。
活性化自己リンパ球療法は、いくつかの大学病院やがんセンターなどでも試験的におこなわれていますが、なにぶん絶対数が少なく、希望する患者さんが治療の選択肢の1つにすることはなかなか難しい状況にあります。
その意味で、私たちのような民間医療施設でこれをおこなうことは、ひじょうに意義のあることだと思っています。
ここで1つ注意していただきたいのは、同じ「リンパ球療法」という名称でありながら、他人のリンパ球を使って治療をおこなっている医療施設があることです。
私たちが治療で用いるのは、あくまでも患者さん本人の〃自己〃のリンパ球であって、他人のものではありません。
たまたま言葉が近いために混同されることもありますが、じつは似て非なるもので、中身はまったく別物であることをご理解ください。
他人のリンパ球は白血球の型が違いますから、入れた患者さんの免疫系はこれを外から侵入してきた異物と認識して排除しようとします。
排除というのは、移植でいう拒絶反応に相当します。
つまり、そのときに起こる免疫反応が、がんに対する攻撃力を高めるのではないかという発想に基づいておこなわれているわけです。
しかし、入ってきた他人のリンパ球に対して一時的な免疫の応答は起こっても、入れたリンパ球が患者さんの体に根づくことはありませんから、他人のリンパ球によるがんに対する攻撃「活性化自己リンパ球療法」の作用は、ほとんど期待できないといってよいのです。
他人のリンパ球を使うという意味では、他に骨髄移植があります。
こちらは白血球の型を合わせ、自分の骨髄もある程度破壊しておいてから、他人の免疫細胞におきかえるものです。
移植した直後は両者混乱していますが、そのうち自然に自分の免疫システムが他人のシステムにおきかわり、最終的には他人のものが占めていくようになります。
白血球の型が一致しているので棲み着いてしまうのです。
がんになった患者さんの免疫系は弱っており、そのままではがん細胞を攻撃、排除しづらい状況ができているといえます。
骨髄移植で他人の免疫細胞におきかえることにより、がんに対して正常な強い免疫力が働くことが考えられます。
また、移植された白血球は、型は同じであっても多少は違いがあるわけですから、移植を受けた患者さんの体の正常な細胞が攻撃を受ける移植片対宿主反応(GVHD)という副作用が生じることがあります。
このときに、体のがん細胞も同時に攻撃を受け、病気がよくなることが報告されています。
最近は、骨髄を破壊しなくても移植がうまくいくことがわかってきており、腎臓がんに有効性が認められたなどの報告も入っています。
話が少しそれてしまいましたが、次に示したのが私たちのおこなっている免疫細胞療法の、Sクリニックがおこなっている免疫細胞療法〈リンパ球の刺激と活性法〉@活性化自己リンパ球療法UCD3‐LAK療法(本人の血液のみが得られる場合)この方法は、患者さんの血液からとりだしたリンパ球(写真)を培養液の中で、抗CD3抗体、インターロイキン2などで刺激し、増殖させるというものです。
抗CD3抗体は、がん抗原を認識するT細胞受容体の構成分子であるCD3を刺激するものとくにリンパ球の刺激と培養法を中心にまとめたものです。
血液から分離されたリンパ球で、これによってT細胞はまるで抗原刺激を受けたように反応(活性化)します。
インターロイキン2はT細胞を増殖・活性化する因子で、私どものクリニックでは、医薬品として遺伝子工学的につくられたものを使用しています。
培養液にくわえたインターロイキン2は、T細胞などの表面にある受容体と結合して、おもにT細胞の増殖を促します。
を点滴で患者さんの体内にもどすのが治療の基本です。
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